パーサー経験豊富の人事スタッフから見た『パーサー』という仕事

中鹿 加奈子(人事部 人材開発課 担当課長※取材当時)

2001年入社。東京列車営業支店でパーサーとして8年乗務した後、インストラクターを経験。本社人事部へ異動となり採用を約10年間担当している。小学校と保育園に通う息子を育てる2児の母でもあり、仕事とプライベートに奮闘中。

石川 美聡(人事部 人材開発課 主席※取材当時)

2007年入社。東京列車営業支店でパーサーとして11年乗務した後、インストラクターを経験し本社列車事業部に異動。2022年より人事部人材開発課へ異動となり採用面接に注力する等、採用業務に務めている。

パーサーのその先へ。パーサーから人事担当へのキャリアの軌跡。

 ジェイアール東海パッセンジャーズで採用と教育を担当している人事部人材開発課。共にパーサー職を経て、現在は、パーサー職の採用活動を行っている、人事部人材開発課の中鹿加奈子さんと石川美聡さんに、パーサーの仕事の魅力や求める人物像についてお話を伺いました。

中鹿さん

 高校生の時に、パーサーが主人公のドラマを見て初めてパーサーの仕事を知り、憧れを抱きました。アルバイトで接客の仕事をしていたので、接客業には興味をもっており、自分が提供するサービスで、多くのお客さまに喜んでもらいたいという気持ちで、パーサーの世界に飛び込みました。

石川さん

 パーサーの仕事を知ったキッカケは、2005年の愛知万博。JR東海の超電導リニア館の展示を見て、日本は世界に誇れる技術を持っていると肌で感じました。海外に住んでいた経験もあり、日本の技術、そして接客の素晴らしさを伝えていきたいと思い、パーサーの仕事に就きました。

中鹿さん

 入社してから最初の8年間はパーサー業務を担当。パーサーとしてのキャリアを築く中で、インストラクターへのステップアップ、その後は人事部で採用・教育に挑戦することに。お客さまと直接関わるパーサーの仕事を続けたかったので最初は戸惑いましたが、新たなキャリアを築けることに魅力を感じて挑戦してみようと新しい道に進みました。

石川さん

 最初はアシスタントパーサーから始まり、チーフパーサーまでキャリアを築き上げていく中で、グループリーダーにならないかとお誘いを頂きました。グループリーダーは、東京のパーサーをまとめる仕事。いわば新幹線パーサーと、会社を繋ぐ架け橋のような存在です。グループリーダーとしてパーサーをとりまとめる業務を経験したのち、インストラクター、そして現在の人事部へと進みました。

お客さまに寄り添うこと、察して自ら動くこと。パーサーに向いているのはこんな人。

中鹿さん

 パーサーの仕事で楽しいと思う瞬間は、お客さまが喜んで下さっている表情を拝見できることです。どのように対応したら喜んでいただけるのか?どうしたら新幹線で快適な時間を過ごしていただけるのか?そこにいたるまで、試行錯誤の連続。「こうしてみよう、ああしてみよう」と正解と不正解を繰り返しながら、お客さまに寄り添う接客を探し続けてきました。
 まず一番には「誰かに喜んで欲しい」という気持ちがあり、それを察しながら自ら動いていくこと。それらを繰り返していく中で自分も成長できる。そんな魅力がパーサーの仕事にはあると思います。

石川さん

 パーサーの仕事では、学生時代の趣味が活きる瞬間があります。私の場合は、学生時代の旅行や、コンサートに行った経験が役に立ちました。
 例えば、京都へ旅行に行かれるお客さまには、京都のおすすめを聞かれて、お答えすることがあります。また地方のコンサートに行かれるお客さまには、会場までのルートを聞かれることもあります。
 就活中の学生の方にもアドバイスをしていますが、「学生時代は外に出て経験を深めること」が大切です。学生のうちに自分の知識を深めて、ぜひパーサーの仕事に役立ててほしいなと思います。

中鹿さん

 パーサーはお客さまとコミュニケーションを取る機会が多いので、人と話をすることが好きな人が向いていると思います。もちろんお客さまとの関わりだけではなく、パーサー同士の交流もあります。仕事が終わってからみんなで一緒に食事に行ったりなど、仲が良いのも特徴です。オフの時も旅行やヨガ、ランニングなどアクティブな趣味を持っている人が多いイメージですね。

多くの人との一期一会の出会いを楽しめる仕事。社会的意義のある仕事。パーサーを長く続けたい理由がここにある。

中鹿さん

 新幹線に乗車されるお客さま全員に接客するわけではありませんが、それでも1日に4,000人近くの方とお会いできる仕事はそんなにないと思います。まずは、お客さまとの出会いを楽しんでほしいなと思いますね。
 私は、お客さまや同僚のパーサー、今では学生さんと、数えきれないほど多くの出会いが心から楽しく、ここまで仕事を続けられていると思っています。

石川さん

 パーサーは、社会との繋がりを感じられる仕事です。例えば、コロナ禍では、旅行や出張など、県外に移動される方が減り、最終的な乗車率は4%まで減少しました。このような社会の状況を肌で感じる中、東京列車営業支店に所属していた当時、担当課長の言葉が今でも胸に残っています。

「お客さまには、どうしても新幹線に乗らなくてはいけない目的がある。こういう時だからこそ、新幹線を動かす意義がある。」

お客さまはもしかしたら、人の命を救うために乗っている医療従事者の方かもしれません。お客さまの大切な目的を叶えるために、どのような状況でも、新幹線というライフラインを動かす必要があります。緊迫した状況の中にいるお客さまが、車内販売のコーヒーを飲んでほっと一息をつける、そんな癒しの空間を提供したいと、改めてパーサーという仕事の意義を再確認した出来事でした。

女性が輝ける瞬間がたくさんあるパーサーの仕事をもっと世の中に広く伝えたい。

石川さん

 日本の新幹線の認知度は高いですが、パーサーという職業はまだまだ認知度が低い現状です。パーサーの仕事も、新幹線と同様に海外まで広く伝わってほしいですね。
 また、時代の流れとともに、パーサーの役割も変化しています。お客さまに快適に過ごしていただくためだけではなく、新幹線の安全を提供している仕事だと理解してもらえたら嬉しいです。

中鹿さん

 パーサーの仕事は、女性が輝ける瞬間がたくさんあります。結婚や出産のライフイベントを経験しながら、仕事をしている先輩も多くいます。女性のロールモデルとなる方が多くいるので、仕事を続ける未来のイメージがつきやすいのではないでしょうか。
 土日休みではない不定期の仕事ですが、基本的に残業はほとんどなく定時退社を出来る事が多い仕事です。私のように子育てをしながらでもキャリアの選択がしやすく、女性にとって働きやすい環境だと思います。

長年のパーサー経験を活かして、人事部で新たなキャリアを切り拓いているお二人。パーサー職の魅力を日本中、世界中に伝えていきたいという熱い想いを語っていただきました。人と話すのが好きな方、接客の仕事に少しでも興味がある方は、ぜひパーサー職の門を叩いてみてくださいね。