チーフパーサーとして経験を伝え、導くことを意識

榎本 美帆(チーフパーサー)※取材当時。現インストラクター

東京列車営業支店。2007年入社。政経学部卒。接客業が好きで新幹線のパーサーに。パーサーを4年、シニアパーサーを2年ほど務め、2012年にチーフパーサーに昇進。乗務時はクルーをまとめ、同時に自身の接客のレベルを高めることも意識。

限られた場所と時間内で快適な時間を過ごしていただくために

新幹線というのは接客業で働く場として、少し特殊な場所だと思います。東京と新大阪を往復する車両空間には、ビジネスで移動される方や旅に出かける方、さまざまなお客様が乗り合い、数時間を共有します。目的が異なる方々に対し、場所も時間も限られた中でいかに快適に、かつ必要なことをご案内できるか、パーサーとして腕が問われます。面白いのは常に同じことがないところでしょうか。お客様の顔ぶれも違えば、要望も人それぞれ。やりがいと難しさが同時に存在していますが、毎日新鮮な気持ちで乗務することができるので、何かあっても次には気持ちを切り替えることができています。

嬉しいのはやはりお客様と接して喜んでもらえたとき。例えば「富士山を見たい」と聞かれたときに時間や見え具合、見やすい座席などをお伝えして喜んでもらうことも多いですね。新幹線は世界的にも知られた有名な特急列車です。海外の友人に新幹線で働いていると伝えると「あの新幹線で」と反応してもらえますが、グローバルに認知された場所で働く誇りも感じています。

クルーの思いを一つにして心のこもったサービスを提供

私は入社以来アシスタント、シニアと経験を積み重ね、現在はチーフパーサーとして乗務しています。チーフは3〜4人で乗務するクルーの責任者。マネージャーとして車掌業務を行いつつ、クルーをまとめます。車掌業務はグリーン車のお客様へのおしぼりサービスやクリーンサービス、車内を巡回しつつのご案内や設備点検といったことがミッションです。またすれ違うワゴンの様子を目で追い、クルーの状況確認もします。

面白いのは、乗務クルーは毎日同じではなく、むしろ同じ人と一緒になることが少ないくらいだということです。経験値により個々の力量、お客様対応力は異なってきますが、それを乗務時にマネージャーとして把握し、様子を見ながら必要であればサポートやアドバイスも行います。でも毎回乗務のクルーが違っていても「お客様に良いサービスを行おう」「必要な方にサービスを届けられるようにしよう」という思いは一つです。私はそれを問題なく発揮できるよう、言葉や態度で皆を導くことを意識しています。

後輩に自分の経験を伝えることでより大きな成長を促したい

大事にしているのは、常に笑顔でいることです。数時間のうちにさまざまな作業をこなすパーサー業務は目まぐるしく、あっという間に終点に到着してしまいます。しかし私たちには日常であっても、お客様には初めての新幹線かもしれません。少しでも気持ちの良い時間を過ごしていただけるよう、どんなときも笑顔を忘れずにいることを心がけています。

入社時はパーサーしか考えていませんでしたが、今は内勤やインストラクター、人事など、パーサー以外にもいろんな道があることを知りました。また、要人が乗車されるときにクルーとして乗務する経験もさせていただき、最高の接遇とはどのようなものか、考える機会もありました。私もパーサーとしてベテランの域に入ってきました。この先は多様な働き方も視野に入れていきたいと思っていますが、現在は私の経験をもっと後輩に伝えたい想いも強く持っています。私自身が持つ優れたパーサーとしてのイメージ像を体現し、それを伝えることで後輩がさらに成長してくれたらこんなにうれしいことはありません。それを一つの目標にし、これからも頑張っていきたいと思います。