新幹線でしか買えない特別なお弁当は、どうやって作られているの?食品工場の仕事の魅力に迫る!

北野 純司(名古屋工場 調製部係長)

調理関係の仕事を希望して臨時社員として大阪工場で働きはじめ、2008年より社員として名古屋工場に勤務。加熱・真空調理ラインの立ち上げに尽力し、現在は真空(加熱)調理部署の管理者としてメンバーの指導にも力を入れている。

澤井 菜々恵(名古屋工場 調製部製造係)

2016年入社。商品の仕分けやおにぎりの製造部門を経て、2021年から真空調理の部署に異動し活躍中。親が働いていた食品工場を見学して食の仕事に興味を抱き、ジェイアール東海パッセンジャーズ名古屋工場で働くことを決めた。

自社工場から、毎日おいしいお弁当をお届け

新幹線での移動で欠かせないものの一つ、お弁当。ジェイアール東海パッセンジャーズでは自社の食品工場で、お弁当やおにぎり、サンドイッチ、おつまみ等を製造し、東海道新幹線車内販売や駅売店でお客様にお届けしています。日本の大動脈といわれる東海道新幹線だけに、そこで流通している飲食物の数も膨大です。これだけたくさんのお弁当は、一体どんな風に作られているのでしょうか。名古屋工場で食材の調理を担当している調製部の北野純司係長と、同じく製造係として真空調理に携わっている澤井菜々恵さんにお話を伺いながら、工場の仕事の魅力に迫ってみました。

ジェイアール東海パッセンジャーズは東京・名古屋・大阪に食品工場があります。今回クローズアップするのは名古屋工場。ここは、お弁当製造はもちろん、2021年からは3工場分のお弁当に入れる食材の生産(加熱調理と真空冷凍食材の生産)を一手に担い、新商品開発時には食味食感の確認や品質の確認などを行う(ロットテスト)など、お弁当製造で重要な役割を担っているセントラルキッチンでもあります。

名古屋工場では、お弁当、おにぎり、サンドイッチを毎日製造し、120人前後がシフト制で働いています。また、新商品を出すときには大量生産する前段階として、本社の開発部門が作成したレシピを元に、数百個単位での試作も担当します。これは指示された工程フロー通りに生産が可能か?、あるいは作業効率や歩留などの検証をしており、新商品を無事に送り出すための大事な確認作業です。

北野さん

名古屋工場は弁当の盛りつけ、下準備、おにぎり製造、サンドイッチ製造、炊飯成型、そして私が担当している加熱調理といった部門に分かれています。日中は素材の検品や下準備、加熱調理が作業のメイン。夜からお弁当の盛りつけがスタートし、新幹線の始発時刻に合わせて名古屋駅へと商品を出荷していきます。時間との戦いなので、1日の作業を通してスタッフの連携が重要になりますね。ロットテストでは本社開発部門とのやり取りも発生しますが、こちらは食材の大量生産が計画通りにできるかどうか、細かな工程確認や本社とのやり取りが大切です

澤井さん

工場は機械化も進んでいますが、人の手作業による工程も結構あります。私はおにぎり部門の経験がありますが、型で米飯を成型するもの、フィルムに包んだもの、また成型したおにぎりに海苔を巻く手巻きのおにぎりなどがあります。手巻きの商品は具材を一つ一つ米の上に置いて、丁寧に作ります。他にも、お弁当の盛りつけも繊細なので、人の手が欠かせません

加熱調理を名古屋工場に集約することで、変わらぬおいしさを提供

名古屋工場の大きな特徴は、3工場分の加熱調理とその真空冷凍食材の生産を担当していることです。かつては各工場がそれぞれ焼く、煮る、揚げるといった加熱調理を行っていました。しかしレシピが同じでも、どうしても味に多少のバラつきができてしまいます。このような課題に対し、最近めざましく技術向上した真空冷凍技術に着目し、これを導入することで、各工場の味の均一化に加えて、季節(時期)による調理作業に波動がない計画的な生産をあわせ実現できるのでは?と考え研究し、令和3年8月より本格導入しました。

真空調理法の導入により、品質の向上に加え、長期保存が可能となるため、各工場が必要とする食材を名古屋工場で集中生産し、それをストックしておくことが可能となり、製造コストの削減や生産効率の向上が見込めることになります。また、この真空調理法の技術を磨き上げ駅弁以外の商品販売を事業の柱として育て上げることで、収益強化への貢献が可能になると考えています。

そこで、加熱調理とそれを真空パック・急速凍結するラインを立ち上げ、これを一連の行程の流れとすることに大きな役割を果たしたのが、長年、工場で各部門責任者を経験し、現在は加熱調理の統括責任者である北野さんです。

北野さん

加熱調理、または真空調理などともいっていますが、例えば揚げ物や煮物を真空パックして凍結したり、半生状態の具材をレトルト殺菌し、凍結するといった一連の工程を、名古屋工場で担っています。この方法だと製造計画を立てやすく、味や品質も均等化できます

加熱調理済の食材を真空パック&凍結して各工場に配送することで、これを受けた各工場ではそれを解凍して盛り付けるだけ。毎日焼く、煮る、揚げるといった作業をそれぞれの地区で行わなくてもよくなりました。

北野さん

毎日全種類を作るのではなく、今日はこの食材、という風に先を見据えた計画を立て、作業できるのがいいですね。その日のスタッフの人数に合わせ、作業の調整もしやすいです。何より、全国のお客様に同じ味をお届けできるようになったのが、一番いいことだと思います

仲間とのコミュニケーションこそ、仕事をうまく動かしていくための鍵

休みなくお弁当やおにぎりを製造している工場ですが、日によって作る数が違ったり、新商品に対応したり、その日により作業内容や働く人数も違います。そこで大切なのは、やはり仲間同士の連携です。

澤井さん

社員として製造作業をしていただく方の管理なども担当していますが、皆それぞれのやり方や意見を持っています。大事なのはコミュニケーションですね。みんなの話を聞きつつ、効率のいい方法を考えていくことが、仕事を計画通りに回すにはとても重要です。だからやりがいを感じるのは、仕事が計画通りに進んだときです。大量に製造しなければならない日などはかなり忙しく、効率を考えないといけませんが、みんながまとまって作業が計画通り円滑に進んだときは、達成感があります

北野さん

名古屋工場のいいところは、各作業場所がワンフロアにあり、横のつながりが強いことです。工場を歩いているとみんなの様子がわかるので、常に一声かけることを意識していますが、そうした日々の心がけで連携もうまくいきますね。工場はほぼ休まず稼働しているので、自分たちだけで仕事は完結しません。みんなの様子を知り、声を掛け合うことが大事なんです。澤井さんと同年代の若い人も多く、そうした人たちが相談しあって常にいい方向にいくように考えてくれているのもありがたいですね

お弁当を完成させるという一つの目標に向かい、力を合わせることが工場では何より重要であり、仕事のやりがいでもあるという2人。「より良いやり方を求めてぶつかることもあるけれど、コミュニケーションを取ることで解決できる」と澤井さんはいいます。北野さんのようなベテランが工場を支える中、澤井さんのような若い世代が活発に人と意見を交わしながら動いていくことで、工場はうまく回っています。

おいしいお弁当作りをしたいという仲間を増やしたい

工場で働く人たちは多種多様です。北野さんは調理が好きでこの道に入り、澤井さんはご両親が食品製造業に従事していたことから工場の仕事に興味を持ち、北野さんのようなプロフェッショナルになることを目指しています。澤井さんによると食品工場の仕事は、イメージしていたものとは違うところもあったようですが、新しい経験ができている喜びもあります。

澤井さん

私は調理も好きですが、すごく得意ということはありません。そこはあまり気にしないでもできる仕事だと思います。入社して感じたのは、人も大事だけど、機械の操作も多い仕事だということでしょうか。部品をはめて機械を動かし、作業が終わったら外してきれいにするなど、機械や部品に触れる機会が多く、私も随分詳しくなりました。機械を動かすのが好きな人にも向いている世界だなと思います

北野さん

この仕事をするには、私としては調理が好きという気持ちがあれば十分です。元気で前向きにチャレンジできる人なら成長できるでしょう。私は工場の全部門を経験してきましたが、自分のノウハウを人に伝えて若手が育つことが今は一番の楽しみです。技術的なフォローはいくらでもできるので、いろんなことを学びたいという意欲のある人と一緒に働けるといいなと思っています

その上で、何よりの喜びはおいしいお弁当を作り、食べてもらえることだと2人は口を揃えます。

澤井さん

日々の仕事をこなしていくことに達成感があります。その上で、自分たちが作った商品を『食べたよ』『美味しかったよ』と知人や家族に言ってもらえると、本当にうれしいです

北野さん

私たちが作るお弁当は、東海道新幹線の車内販売や駅売店でしか売っていない特別なお弁当です。新幹線の駅や車内で販売することで、より広い地域のお客様に食べていただけているというのは、なかなかないことだと思うし、喜びです。その充実感を一緒に味わえる仲間を増やしていきたいですね