「食のこだわり」は味だけじゃない!私たちが支える「安全・安心」への想い。

石橋 瑞樹(品質管理室 主席 東京工場ラボラトリー勤務)

2012年入社。学生時代は化学や微生物、遺伝子、環境科学分析等、幅広い分野の分析実習を学び、このスキルを活かした業務に就きたいと、食品工場があるJRCPを受験。現在は、劇物の管理責任者を任されるなど、ラボラトリーの中心人物。

平田 麗奈(品質管理室 主任 東京工場ラボラトリー勤務)※取材当時

2019年入社。学生時代は生命科学を専攻、毎日研究の日々。そこで培った研究技術や考察力を活かし品質管理室で活躍中。食品表示検定や惣菜管理士といった資格を取得しながら、業務の幅を広げ、「食の安全」の奥深さを実感する毎日。

食品の生産における品質管理の役割は、お客様の「信頼」に関わる責任ある仕事

 ジェイアール東海パッセンジャーズで開発・製造する駅弁やサンドイッチ、駅構内の飲食店舗で提供される商品の品質を保つため、商品や、商品を構成する個々の食材などの科学的検査や衛生巡回・指導を行う、品質管理室という部署があります。
「お客様の口に入る商品が安全・安心なものであるために」という気持ちで、今の仕事と向き合う、品質管理室の石橋瑞樹さんと平田麗奈さんにお話を伺いました。

お弁当をおいしく召し上がっていただけることを想像しながら

 品質管理室には本社部門とラボラトリー部門があります。
 本社では主に、事業計画の立案、施策の調整、法規対応、行政対応、他部署および外部機関との連携により食品事故を引き起こさないよう取り組んでいます。
 ラボラトリーでは、商品や食材の品質を維持するため様々な切り口からの微生物検査を中心とする科学的検証を行っています。また商品開発部門や東京・名古屋・大阪各工場の品質管理担当者とも連携しながら衛生管理業務を行っています。

石橋さん

新商品を発売する際は、メニューを考案する開発部門と連携し、原材料が弊社の自社基準に適合しているか、そして様々な温度や経過時間での微生物検査の結果を見て、安全性が確保されているかなどを確認しています。商品の発売後も定期的に検査を行い、販売中の全ての商品が安全であることを継続的に確認しています。

平田さん

また、食品生産工場や販売店舗、駅構内の飲食店舗の衛生状態の確認も行っています。実際に工場や店舗へ行き、商品が衛生的な環境で製造・保管・販売されているか、またそこで働く従業員が衛生的な身だしなみで従事しているかなど様々な視点で確認しています。弊社には東京・名古屋・大阪に自社工場があります。各工場は、食品事業者が安全性を保つための基準とされているJFS-B規格という認証を取得しており、HACCPという法令で定められた管理手法にった衛生管理を行っています。私たちも日頃から各工場の品質管理担当者と情報交換をしてJFS-B規格の維持管理に努めています。

石橋さん

弊社のお弁当は新幹線車内だけでなく、駅構内の販売店舗や、外部の取引先にも販売しています。そのため、様々な販売環境下で、弊社のお弁当をおいしく安心して召し上がっていただけることを想像しながら、業務に励んでいます。

平田さん

2021年度からは真空調理法による製造法を導入し、真空冷凍した食材の製造を開始しました。品質管理室の役割は、この新しい製造法で作られた商品の安全性を担保することです。例えば、生産工程の加熱時間や冷却温度などが自社基準に沿って適切に運用されているか検証します。そして、それら全ての食材に対して保管温度毎、あるいは経過時間毎に応じた微生物検査を実施し、安全性を確認しています。その他にも、商品の製造や販売に関わる従業員の衛生教育を担当します。食中毒予防に関する講習会や正しい手洗い方法の指導などを定期的に開催し、従業員全員で食品事故を引き起こさないよう取り組んでいます。

普段お客様から見えない立場だけど、、、この仕事への「誇り」と「やりがい」

 新幹線車内や駅構内などたくさんのお客様が行き交う場所から離れ、実験室のような場所で様々な検査機器を使いながら「コツコツ」と「冷静」に検査や検証、分析業務に向き合う姿勢が印象的な品質管理室のメンバー。「食の安全」を支えるお二人だからこそ、仕事への「誇り」と「やりがい」も印象的です。

石橋さん

ノロウイルス対策強化期間の対策の一環として、除菌洗浄効果のある手洗い洗剤の導入を提案しました。当時は、強化期間のみの一時的な使用でしたが、翌年からは通年で使用するようになり、今では食品工場のみならず列車事業や一部の店舗にも展開されています。当時は入社して間もない頃でしたが、一社員の提案にも真剣に耳を傾け、一緒にサポートしてくれた上司にはとても感謝していますし、今でも自分が提案した手洗い洗剤を従業員の方々が日々使用しているのを見ると、誇らしく嬉しく思います。良いアイディアに対して、受入れてもらいやすい環境で、前向きに業務が出来ることは、とてもやりがいを感じます。

平田さん

出張などで新幹線に乗車した際に、弊社のお弁当を美味しそうにお召し上がり頂くお客様をお見受けしたとき、この仕事をしていてよかったと本当に思います。品質管理室が担当する業務はどれか一つでも欠けると、商品の品質を維持し、安心・安全な商品をお客様に提供することはできません。自分自身が、新幹線をご利用されるお客様の快適なご旅行のお手伝いができる品質管理部門のメンバーとして業務に従事することは日々、緊張感と責任を感じています。しかしそれ以上に品質管理業務に携われることは私にとって、学生時代に学んだ知識を活かすことができ、業務内容にも大きなやりがいと誇りを持つことができています。その気持ちを力に日々の業務に邁進しています。

石橋さん

お客様から見えない立場だからこそ、いまやっている業務に真っ直ぐ向き合うこと、私たち品質管理メンバーの誇りとプライドが、お弁当づくりを支えている、と思うとこの仕事を選んでよかった、と実感します。

専門知識を活かし、良い刺激を与えられる仲間とともに

 品質管理室での業務はお二人のように、高い専門性が求められる仕事でもあります。「食品衛生学」「栄養学」「生命科学」などの知識をもったスタッフと「食の安全」について議論を重ねながら、お互いを高めあうことのできる仲間とともに仕事が出来る、そんな雰囲気が品質管理室にはあります。

平田さん

先輩は信頼できる方ばかりだし、優しい方が多い職場だと感じています。入社当時は、基本的な知識や工場点検のやり方など丁寧に教えてくださり、心強く感じていました。今でも、業務で行き詰ったときは親身に相談に乗って下さるので、ありがたく感じています。私自身も皆さんのような“先輩”になりたい!と思っています。

石橋さん

入社当時は覚えることや身につける知識が多く、なかなか理解することが難しいこともありました。時には社内ルールの中で疑問に思うこともありましたが、そんな時、当時の上司は私の意見を頭ごなしに否定するのではなく「今、疑問に思うこと、おかしいと思うことで、今すぐ変えられないこともあると思う。でもそのおかしいと思うこと自体がとても大事なことだからこの先もその思いを忘れないで持ち続けてほしい。」という言葉をかけて頂いたのが今でも心に残っています。今ではマニュアルの改訂に携わる機会もあり、当時抱いていた疑問も少しずつより良い方向に解消されています。当時の上司の言葉はこの先も大切にしていきたいと思います。

 東海道新幹線で販売するお弁当やサンドイッチ、駅構内の飲食店舗や売店の運営、ジェイアール東海パッセンジャーズの主力である「食」を支える品質管理室の仕事。多くのスタッフに支えられて、今日もお客様が待つ、駅や新幹線に向けて、美味しいお弁当が届けられます。