「警察官」から「新幹線パーサー」に!「お客さまのために」の先へ…

松森 典子(チーフパーサー/東京列車営業支店 所属)

2017年入社。新卒時に警視庁へ入庁し警察官として勤務した後、中途採用によりジェイアール東海パッセンジャーズへ入社。2022年からチーフパーサーへと昇職。

接客未経験から挑戦してみようと飛び込んだ世界

大学卒業後は警察官として勤務していましたが、不規則で長時間労働が続いていたため、結婚を機に仕事と家庭とのバランスを考えて転職を決意。警察官は辞めてしまいましたが、気持ちは一貫して、人と向き合える仕事に就きたいと考えていました。

前職では仕事柄、人の困った場面、悲しい場面に立ち会う機会が多かったので、転職先では笑顔のあふれる環境を希望していました。小さい頃から乗り物への漠然とした憧れがあったので、エアラインも同時に志望しながら、合同説明会で初めてパーサーの仕事に出会いました。
友達が大学時代にパーサーのアルバイトをしていて楽しいと言っていたことを思い出したことと、制服の可愛さに惹かれ、パーサーの仕事に興味を持つようになりました。パーサーは、1人で車内販売をおこなうイメージがありましたが、チームの一員として輝けるという魅力を知り、最終的にはパーサーの道を選びました。

女性が多く家庭との両立もしやすい働き方

2017年に入社して、2022年3月にチーフパーサーに昇職しました。新幹線にはマネージャーとして乗務し、8号車から10号車までのグリーン車を1人で担当しています。仕事内容は、おしぼりのお渡しやクリーンサービス、お客さまのご案内をする業務など。グリーン車以外の号車を担当している後輩2名の様子を見ながら、フォローや指導もおこなっています。近年では、お客さま同士のトラブルがないか、不審者はいないか、新幹線車内を巡回して安全を徹底しています。

前職の男性社会とは全く異なる環境で、女性が多い職場ということで、入社当時は不安がありました。でもいざ働いてみると、みなさん情報収集能力がすごいので、美味しいお店や、おすすめの旅行先など、些細な話題から仲を深めていけるんですよね。前職では女性の割合が少なく、肩身の狭い経験をしていたので、今の環境はとても新鮮です。お互いに体調を気遣いながら仕事できることも、女性が多い職場だからこそのメリットだと感じます。

パーサーの仕事では、泊まり勤務もあります。泊まり勤務を不安に思う方もいるかもしれませんが、設備が整っている個室に泊まれるので、ご安心ください。朝や昼に仕事が終わるシフト制の仕事ですが、裏を返せば、朝や昼からプライベートの時間を過ごせるということ。仕事終わりに旅行したり、ヨガに行ったり、みんなオフの時間を楽しんでいます。

警察官時代に培った、瞬発力や判断力が活きる瞬間が嬉しい

やりがいを感じる瞬間は、お客さまから「あの時は本当にありがとうございました」と、メールやお手紙を頂くこと。またお客さまとの出会いも大切な宝物ですね。

今でも覚えているお客さまとの出会いは、アシスタントパーサーとしてデビューした時のこと。いつものように車内販売をしていると、あるお客さまがコーヒーを購入してくれました。お客さまは会話が苦手な様子で、ずっと俯いて、折り紙を折っていました。コーヒーを淹れている間、「かわいい折り紙ですね」と話しかけたら、お客さまは嬉しそうな表情に変わって、出来上がったばかりのゾウの折り紙をくださいました。このように些細なやり取りの中で、お客さまに歓んでもらえる瞬間は、かけがえのないものです。

また意外にも、前職の経験が活きる瞬間があります。警察官時代は、老若男女問わず本当にさまざまな方と接する機会があったので、コミュニケーションにも瞬発力や判断力が求められる職場でした。列車が遅れている時、お客さまが困っている時、どのような状況でも警察官時代の瞬発力で、「今、このお客さまは何を求めているのか」を冷静に判断できます。接客未経験で飛び込んだ世界ですが、警察官時代の経験も活かせていてやりがいを感じます。

いつか貴賓輸送の列車を担当してみたい

今は列車に乗ることが楽しいので、今後もパーサーとして活躍していきたいです。まだチーフパーサーにキャリアアップしたばかりですが、いつか貴賓輸送の列車を担当してみたいですね。パーサーのなかでも、選ばれた人しか担当できないので、憧れがあります。先輩方が選ばれている姿を見てきたので、私も担当できるよう今まで以上に接客スキルを磨いていきたいです。

プライベートでは、今後もライフスタイルに合わせて働きたいと考えています。前職では休日出勤や残業が当たり前だったので、シフト通りの勤務ができる環境が嬉しいです。

笑顔が素敵な人、物事を柔軟に捉えられる人であれば、未経験からでもチャレンジできる環境がある

パーサーの仕事は、笑顔が素敵な人が向いていると思います。今は特に、パーサーは帽子を着用して、マスクをしながらお客さまと接しているので、お客さまからは目元しか見えません。お互いに表情が読み取り辛い状況なので、目元までしっかり笑顔を作れると、お客さまに好印象を持ってもらえますし、コミュニケーションも円滑に取れると感じています。

あとは、物事を柔軟に捉えることも大切です。業務中は様々な作業を目まぐるしくこなしているので、言葉足らずになってしまい、パーサー同士でも上手く意思疎通が取れない時があります。そのような場合でも、物事を1つの角度から見るのではなく、さまざまな角度から見て柔軟に行動できる人はパーサーとして活躍できると思います。

パーサーを目指しているなら、未経験でも挑戦してみる価値はあります。私も前職は全く違う仕事で接客未経験。最初は、尊敬語や敬語も分からないところからのスタートでしたが、先輩たちは接客のプロなので、言葉遣いや身だしなみ、メイクまで研修で丁寧に教えてもらえます。先輩を見ながら学んでいける環境なので、不安に思う心配はありません。

少しでも「やってみたい」と思う気持ちがある方は、ぜひ一度パーサーの世界に飛び込んでみてほしいと思います。